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不気味な力だと、恐れ、嫌い、世界の隅っこに追いやった。 消せる筈のない愚かな過去が、最後の希望を吹き消そうと……。 「散歩って事なら、別に良いけど」 頭を抱える僕とは対照的。 気の抜けたトーンでそんな事を言いながら、いつの間にか少女は出掛ける準備を始めていた。 「あ、え」 鼻歌混じりに彼女が開けたクローゼットには、真新しいふりふりの洋服たち。 可愛らしい靴。 帽子に、ベルトに。 「散歩、お出掛け、ピクニック。世界を救う旅以外だったら、呼び方は何でも良いから」 がさがさとそれらを漁る横顔は、普通の女の子そのもので。 「お兄さんが望むなら、デートでも良いよ?」 クローゼットの前が、あっと言う間に色とりどりの花畑になっていた。 『歩いたところにあらゆる法則を無視して花が咲く』 それがあの日僕を魅了した彼女の奇跡。 世界中が不気味だと罵った、彼女の奇跡。
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