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スッと瑠偉が私の側まできた。
ギタースタンドからギターを取り私に渡した。
「重たいですよ、足を組んでギターを持ってみて下さい。」
想像より重たいギターは初めて手にして心高鳴った。
瑠偉が私の背後に立ちギター位置を直してくれる。
背後に立ち体に触れる行為は
瑠偉にとっては何ってない事である。
私にとっては特別なことであった。
男性経験がないわけではない。
瑠偉だからである。
瑠偉が目の前の席に戻っても私の肩には瑠偉の体温が残っていた。
「ピックを貸しますね。
そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。」
瑠偉は優しい言葉を投げかけてくれる。
私にもやっと笑顔が出た。
それを見た瑠偉は私に
「ランさん、やっと笑ってくれましたね。」
そんなに優しく言われたら…私は照れてしまうのに。
瑠偉にとっては社交辞令の様な言葉かもしれないが
私にとっては幸せもピークに達する言葉である。
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