第1章

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スッと瑠偉が私の側まできた。 ギタースタンドからギターを取り私に渡した。 「重たいですよ、足を組んでギターを持ってみて下さい。」 想像より重たいギターは初めて手にして心高鳴った。 瑠偉が私の背後に立ちギター位置を直してくれる。 背後に立ち体に触れる行為は 瑠偉にとっては何ってない事である。 私にとっては特別なことであった。 男性経験がないわけではない。 瑠偉だからである。 瑠偉が目の前の席に戻っても私の肩には瑠偉の体温が残っていた。 「ピックを貸しますね。 そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。」 瑠偉は優しい言葉を投げかけてくれる。 私にもやっと笑顔が出た。 それを見た瑠偉は私に 「ランさん、やっと笑ってくれましたね。」 そんなに優しく言われたら…私は照れてしまうのに。 瑠偉にとっては社交辞令の様な言葉かもしれないが 私にとっては幸せもピークに達する言葉である。
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