第1章

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そう聞きながらも内心は 「はい。」っと言われたらどうしようと考えていた。 瑠偉は私の顔をじっとみつめてきた。 そんなに見つめられたら目を逸らしそうになってしまう。 何も答えてくれない。 今の私はネガティブな言葉しか浮かばない。 「大丈夫ですよ、私が弾ける様にしますから。 安心していて下さいね。」 瑠偉は私に笑顔でこう言ったのだ。 「嬉しいです、よろしくお願いします。」 私は素直に答えた。 瑠偉のことが嬉しかった。 どの生徒にも言っているのかもしれないが嬉しかった。 1時間程のレッスンは無事に終わり次回の予約をとった。 これで終わりだと思うと寂しかった。 もっと一緒に居たい、もっと話したい、もっと瑠偉を感じたい。 その思いでいっぱいだった。 立ち上がろうとした私を瑠偉は 「とても綺麗なブルーのTシャツありがとう。 嬉しっかったですよ、ランさん。」 !!!!! 予期せぬ言葉であった。 やっぱり気づいてくれていたんだと思うと涙が出そうになった。 「喜んで頂けて光栄です。」 これ以上の言葉がその時の私には浮かんでこなかった。
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