第4章~宿泊学習~

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慶「…………どういうことだよ」 慶樹は複雑な顔をして楓を見ていた 楓の一言は冷静沈着な慶樹であっても、崩れるほどのことだった 楓「私ね、中学校に上がる前に記憶障害になっちゃって それまで生きてきた記憶が全て消えちゃったの……」 慶「楓も……記憶に関する病気だったのか」 慶樹は少しだけ驚いたのと同時に変な親近感が生まれた 記憶に関係する病気の仲間がいなかったからだ 楓は下を向いたまま言葉を交わす 楓「だった……って言われればその通りかな もう記憶が消えたりすることはないってお医者さんにも言われたの」 慶「……そうなん「だけどね?」 慶樹の言葉を遮って楓は話を続けた 楓「だけど……何でなのかは分からないんだけど……… 慶樹のこと………… 高校で初めて会った人とは思えないの」 慶「えっ?それって………」 楓「分からない…… 記憶が戻った訳じゃないんだけど、慶樹と話していると心から温かさが全身に伝わってくるの 最初はかっこいい人だなとくらいしか思ってなかったのに、話をする度に胸の奥が熱くなるの それに記憶障害の私をお父さんが支え切れなくて離婚して『君島』に名前を変えたのに『箒根』の名前を知ってるってことは…… やっぱり私たちって…… 小学校時代のどこかで会ったことあるよね?」
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