プロローグ

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強引にスマホの電源を落とそうとした時だ。 『――蜥蜴』 先ほどとはうって変わった――優しくて甘い声。 女の動きが止まる。 『蜥蜴』 もう一度言われ、身体が震える。 女を支配しているのは、恐怖ではない。 歓喜――。 女としての喜びが身体を駆け巡り――支配され――歓喜で“奮えている”のだ。 『おいで……“蜥蜴”』 念を押すように言われ。 「……二時間」 女が唇を噛みしめながら、小さな声で答える。 「二時間だけだからね……」 『下に車を回してやる。早く来い』 男のしてやったりという雰囲気が手に取るようにわかる。
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