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森を焼かない程度に私達の周りを炎が包みます。
「そう言えばこんな堂々と火を焚いて私達、追われているんですよね?」
「……勇者は追われていないわ。兵士達は勇者が火を焚いたと思うでしょう」
あぁ、そうですね。私としたことが適当な質問をしてしまいました。
「では、周囲に警戒して進むわよ」
私達一団は布陣を組んで明るく照らされた森を進みます。
かなり歩いた所でイヴさんが立ち止ります。
「……まずいわね、約500M先にオーガストムーンがいるわ…………
山道を外れるのは余計に厳しくなるし…………」
イヴさんが悩んでいます。
「オーガストムーン……どんな獣なんですか?」
私が質問すると、雪さんが答えてくれました。
「……夏の月夜に活発になり繁殖行動を行う、
体高4Mもある{雷}系の肉食獣よ」
「やばそうな獣ですね……」
「……正直……ホンミョウタイセイよりも上位の獣ね…………
今は時期が始まった頃で一番凶暴だわ……最悪ね…………」
どうしましょう、何か打開案はあるのでしょうか?
イヴさんが考えをまとめて話し出します。
「仕方ないわね、あまりここで油を売るのも良くないわ。
私が抑えるのでオーガストムーンの脇を抜けて頂戴、私もすぐについていくわ」
大丈夫なのでしょうか。
確かにイヴさんは{火}魔法が得意なようで、
{雷}系のオーガストムーンには相性が良いのですが……
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