3人が本棚に入れています
本棚に追加
私達は真王国の領土へ入り、
畑の広がる大地を真王国聖域中心を目指して馬車で移動します。
疲労が溜まっていたせいか、私は馬車に揺られながら寝ていたようです。
どうやら勇者御一行も寝ていたようで、
寝ていなかったのはイヴさんとマーニャさんだけだったようです。
一番近くの街に着いた頃にはもう夜中でした。
ここ辺りは眠らない街のようで、夜でも賑わいをみせています。
「この宿でいいわ」
イヴさんは馬を操る護衛に話しかけると、皆を起こします。
護衛は拝察して質問しました。
「この宿でいいのですか?
この街には他にも良い宿が御座いますよ?」
「別にかまわないわ。これぐらいの方が落ち着くもの。
それに、国のお金でこの子達が泊まったとしたら、
この子たちの立場が無くなってしまうわ。
私は自分のつれだとしても、そういう所はしっかりしたいのよ」
勇者御一行のことを国賓扱いはしないのですね・・・
まぁ、ここに居ることがおかしい人達ですから仕方がないですけども。
それに、勇者御一行が目立たないためという気遣いと、
彼らに謙遜の念を懐かせないための気遣いを含めて、
最良の選択なのかもしれませんね。
「わかりました。今夜は私共も同じ宿に宿泊いたします。
何かありましたら御呼び下さい」
護衛のエルフは礼をすると受付に向かって行きました。
私達は寝惚けた勇者御一行を馬車から引き摺る様に下ろし、
護衛のエルフから渡された鍵を持って、それぞれの部屋に向かったのでした。
最初のコメントを投稿しよう!