真王国街道

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私達は宿を後にし、昨日乗って来た馬車に乗り込みます。 勇者御一行にはやれやれです…… 宿を出る時もあれを忘れただとか、 実は忘れて無かっただとかひと悶着あり、 出発する時間は毎度のことのように遅くなるのでした。 なんだかんだありながら馬車に乗り込んだ私達は、 ついに真王国の中心、正宮に向かいます。 どうやら真王国の五人の最高位の王が座す場所が 真王国の中心部の中の正宮なのだそうで、 定期集会も正宮の前の広場に国民のほとんどのエルフ達を集めて、 粛々と開催されるようです。 今日の朝、アレフさん達がだらだら準備をしている合間に イヴさんがやっと教えてくれましたが、 まさか真王国の中枢に行く予定だったとは…… 共和国辺りに追われてるらしい私なのですが、 追われてる理由はさっぱり解らず、 とりあえず考えて解ったのは、 真王国に匿ってもらうのではないか? という結論でした。 要は亡命ですね。 この歳にして何てことだ!! そんなことを悶々と考えていると、 昨日の護衛のエルフが勇ましい掛け声を発し、 それと同時に馬車が進みだします。 馬車に揺られていると眠気がくるのは私だけでしょうか? 相変わらず寝るような様子のないイヴさんは 外を眺めており、 何を考えているのか、彼女の気持ちがわかりませんでした。 馬車は流れる景色を置き去りにして、 遥か先に見える夏の匂いに感嘆を込め、 まっすぐな轍を伸ばし続けたのでした。
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