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次に起きた時にはもう夕方になっていました。
この頃昼間に起きている気がしないのは気のせいではないだろう。
医療用ベッドから起きだすと節々の関節が痛む。
それ以外は痛みはなく、
黒峰さんが落石や暴れる毒鳥からしかっりと私を守っていたことがわかる。
上にかぶさったという情報は……
置いといて後でお礼を言っておこうと思いました。
医務室を出て酒場に入ると、紫織さんが「お、おは~」と言ってきたので
「もう夕方ですけどね……おはようございます……迷惑をかけました」
そう返すと、彼は私が元気がなさそうに見えたのか、
「よくあることさぁ~、気にしなくたっていい」
そう言ってくださいました。
私が少し元気に振る舞ってみると、
「別段痛いところはないっしょ?一応全身、魔法で検査したから、
俺は今から少し出かけないといけないんでね、しっかり休めよ、
あと今回の反省はちゃんとしとけよ~、」
そう言った後足早に出て行ってしまいました。
一人残された私は茫然としてしまいましたが、
言い残したことがあったらしく、入り口から顔だけだしながら、
「あ、そうそう黒ちゃんは今、魔王自治国に行ってるからしばらくいないで
彼への礼は先送りかな~、なんて、
あ、黒ちゃんがあややを助けてくれたんだぜ~、俺よりも彼によろ~」
最後に開いた左手の手のひらだけが見え、
私は入口におたおたと向かいながら、
「あ、そのことは知っています、ちょうど起きていました、
でも、一応あなたにも礼を……」
と、言ったのですが彼はもう外にはいませんでした。
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