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「こいつもだな、」
いつも入口右側で朝まで飲んでいるおじさんの一人が言います。
私は明らかに変色したウルフの体毛を見て寒気がしました。
症状は末期なのだろう、深い紫色をしたその体は膿、腫れ上がれ、爛れ、
ウルフの精悍な姿の面影はどこにもありません。
「ついにこの近辺まで浸食されたか、何か有効な手を打たないとな、」
すると、もう一人のおじさんが相槌を打ちます。
「だが……神聖術師に頼むとしても人数が必要だし銭がかかる、
そう易々と頼めるかい、」
なんだかおじさん達の間に漂う雰囲気がどことなく悪いです。
いつもは明るく飲んでいるというのに、
私はどうしたものかと考えていると入り口から誰かが入ってきました。
私はまだ見たことのないギルメンの一人かと思いましたが、
周りの人も驚いているようでそうではないのでしょう。
それにしてもその容姿……女性である私から見てもずば抜けて美しい。
金髪のロングヘアーはよく手入れされていて朝日に照らされ輝いています。
目は……赤色変異だろうか、学校時代に習った記憶がある。
確か魔力生産量と魔力貯蔵量を一定以上維持されていないと……
「ひうっ!!」
私がぼんやり彼女の顔を見ていたら、彼女は私の顔の間近まで顔を近づけ……
……に……匂いを嗅いでいる??
変な声が出てしまいました……
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