旅立ちの弥明後日

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物事は思いのほか唐突に知らされるものです。 そこには必ず意味が存在するはずなんですが…… 紫織さんいわく、新人歓迎修行の旅だそうです。 きっと今決めたと思います。 私と一応入ったばかりで後輩に当たるイヴさんとの二人で 広い世界を見て来いだそうで…… ギルドに来て5、6日で旅というのもびっくりなんですが どうやら本当に実行するらしく、 ここに来てからというもの目まぐるしいことばかり起きています。 私はより詳しい説明を求め紫織さんを見ましたが あ~、なんていい笑顔なんでしょう。 一点の曇りもない笑顔、こんな時によくできますね。 使いどころを間違っている気がします。 もっと……こう……、まぁ、笑顔で送り出してくれることには 異論はないのですが。 それにしても黒峰さんの笑顔は怖いですね~、悪魔のようです。 きっと子供が見たら泣きだしますね。 「じゃあ、行きますよ、綾」 皆さんを眺めているとイヴさんがそう言い、 まるで都会へ旅立つ我が子を見送る様な紫織さんと、 満面の「恐怖」が顔面に張り付いた黒峰さん、 わざわざ出てきてくれた沙羅さんや屋根裏から降りてきた鐘冴さん、 いつ寝ているのかわからないほど夜通し飲み明かしているおっさんたち、 皆が見送ってくれます。 こう言っては水を差すでしょうが、 まだ来たばかりで、ここまでの見送りをするのは少しどころではなく 大袈裟すぎに思えます。 私は色々と疑問を抱えながら、 イヴさんに連れられてギルドを後にしたのでした。
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