勇者

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私達がボロ屋に泊まる手続きをしていると、 こんなボロ屋だというのに他にも泊まっている人達がいるようでした。 この宿はボロ屋だというのに共同風呂があるらしいです。 ボロ屋だというのに。 「綾、声に出ているわよ」 「うえぇ!?」 「ボロ屋ボロ屋とぼそぼそと、主人に失礼だわ、ねぇ、主人」 「いえいえ、この宿は築100年ほどでね、 歴史はあるのですがどうも私と妻だけでは手が行き届かないもので」 「も、申し訳ありません」 「いえいえ」 主人はおおらかな人で私がボロ屋と罵ったことを許してくださいました。 ありがたや…… 私達二人は主人に指定された部屋に向かい、鍵を開けて入りました。 まぁ、汚れてはいないボロい部屋です。くつろぐことはできそうですね。 私が荷物を下ろして座るとイヴさんはドアの横で外を窺っています。 「どうしたのですか?」そう聞いたと同時にドアが乱暴に開かれ、 「たっっっだいまぁ~~~~!!!!」 という声と同時にイヴさんの脇差がその人の首元に…… 「ひぃ……」 私がそんな間抜けな声を上げると同時に、 その人も同じような声を上げながら尻もちをついたのでした。
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