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「あ……あっぶねぇ~、なにすんだ……うおっ」
イヴさんはすかさず尻もちをついた男の首に脇差の先端を向けます。
尻もちをついた男は慌てながら両手を振ります。
「お……俺は勇者だ、おちつけ、おちつけ」
なぜ勇者と名乗る必要があるのか、動転しているせいですかね。
勇者と名乗ったからといって嘘の可能性もありますし。
勇者なんて突拍子もないですし。
身の潔白が証明されるわけではないですね。
まぁ、ただ部屋に入ってきただけなんですけどね……なんて不運な人。
多分部屋を間違えたのでしょう。「ただいま」なんて言っちゃって。
イヴさんはそれでも脇差の先端は向けたまま辺りに注意を払っています。
そしたら隣の部屋から女性達が出てきました。
「あんたのバカ声が隣の部屋まで聞こえてきたわよ、このバカ」
目の前の女性拳闘士とみられる人が乱暴に言います。
「アレフはバカ……」
その横の女性魔法使いとみられる人がボソッと言います。
「なんだか楽しそうですね、どうしたのですか?皆さん」
状況がつかめていない弓使いと思われるエルフが言います。
耳が尖っているのでエルフなはずです。
「バ……バカとはなんだバカとは!!」
事の元凶、さっき勇者と名乗った男が言います。
なんだかわっちゃわっちゃです。
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