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「え?……あなたが……法王なんですか……?」
マーニャさんがたじろぐようにそう問うと、
イヴさんは何かためらうように「そうよ」とだけ答えました。
彼女は足を震えさせながらゆっくりとイヴさんから距離をとると、
震える足を押さえ込み、立て膝をつき、正式な礼を尽くしました。
私はいきなりのその姿に驚きを隠せませんでした。
「さ……先程の無礼、ど……どうかお許しください……法王様……」
声も震え、憐れに見えるほど膝まずいた彼女の顔は精気がないように見えます。
するとイヴさんは、
「そのように改まらないでほしいわ、それに私にも非がありますもの、
人に簡単に身分が解ると不便でしてね、耳は髪に隠すようにしているの」
イヴさんはそう言い、
髪で隠れていたカチューシャを外すと包帯の巻かれた尖った耳が見えました。
「!!……法王様……耳を……」
「ああ、この包帯も身分を隠すためよ、怪我をしているわけではないわ、
……同族である貴女の前では耳のピアスを見せるべきでしたね、
申し訳ないことをしたわ」
「……いえ、とんでもございません」
なんだかさっきまでのごちゃごちゃした雰囲気はどこへやら……
他の勇者御一行も状況が読み込めずに茫然と立ち尽くしていました。
私もマーニャさんの強張りようにも驚きましたが、法王……?
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