勇者

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「あ、ありがとうございます主人……」 私は何というか頭が上がらない思いです。 「いえいえ、実はこの宿は訳ありの人物が泊まることも多くてですね…… ですがその者達がどんな者達であろうとも お客様であることには変わりありません。 ですからお客様の安全を第一に行動したのですよ」 なんて主人なんでしょう、宿屋の鏡のような人です。 まぁ、悪い人を泊めるのはどうかと思いますが、 良い人か悪い人かなんてそんなことは主人が決めることではなく、 国が勝手に決めることであり、主人はお客様に対して全て平等なのでしょう。 本当に素晴らしい人です。 私は感謝し続け、用事を忘れて部屋に戻ると、 「酒は?」とイヴさんがなぜか酔っぱらいながら言うもので、 逆に「え?お酒あったんですか?」 と聞いたら肉と一緒にお酒も渡されていたようです。 それ、調理酒でしょ!! 銀桜華さんいわく酒で肉を焼けとのことだったらしいです。 塩胡椒の時点で出してくれればとも思いましたが、 肉に酒だけというのもやはり飽きそうなので、 やっぱりいいかとそのことは考えるのをやめました。 それにしても待ちきれずに調理酒を飲むなんて…… 部屋に戻ってからもずっと「酒が足りないわ」とイヴさんが駄々をこね続け、 マーニャさんが「イヴ様かっこいい……」なんて言うものだから、 しぶしぶ再度エントランスに向かったカオスな夜なのでした。
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