愁い

3/5
前へ
/125ページ
次へ
朝早く起き出したイヴさんは、 風呂に向かう準備をしているようでした。 私はまだ寝たい気持ちを押し退けて起き出すと、 イヴさんは少し驚いたようでしたが 快く同行させてくれました。 まだ日の昇らない白んだ空は薄暗く、 足元が覚束無い中イヴさんは迷いなく進んでいきます。 私は石に躓かないようにおたおたしながら進みました。 離れの風呂はなんと露天風呂でなかなか素晴らしい作りです。 イヴさんは早々に服を脱ぐと 風呂場にさっさと入っていってしまいました。 私も急いで脱ぎ、木の扉を開けると、 薄暗く照らされた浴場はなんとも幻想的です…… その中に佇む1人のエルフは風に混じり、 風景に溶けながらも存在感を放ち、 私は寒さで震えるまで、長く長く……魅とれていたかったのでした。
/125ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加