騒動

6/11
前へ
/125ページ
次へ
ホンミョウタイセイが何かに気づきこちらに近づいてきます。 近づくほどに雪さんの青白い顔が鮮明に見えてきます。 私は居た堪れなくなりましたが、 ぐっとこらえイヴさんの方に目配せしました。 イヴさんが頷きます。 私は大剣を右腕に持ち、 さっと草陰から飛び出すとホンミョウタイセイを中心に 円を描く様に走りました。 ホンミョウタイセイは私の方を向き直り、 雪さんを持ったまま追いかけようとします。 イヴさんとホンミョウタイセイを挟んで反対側まで来たので 大剣を構え防御の姿勢をとります。 大剣の平面と頭から伸ばした右足まで一直線の姿勢です。 ホンミョウタイセイは私を敵と認識したのか、右腕で殴ってきました。 「くあっ……」 体勢を低くしていたおかげで吹っ飛ぶことはありませんでしたが、 10mほど後退させられましたね……両腕が酷く痺れています。 雪さんが左手に握られているおかげで左腕パンチがなく、 追撃がワンテンポ遅れて良かったです。体勢が立て直せれました。 「くうぅ……」 もう一度右腕でのフックパンチですね。強烈すぎます。 もう少しで後ろは木ですね。 私は三度目のフックパンチを左側へのローリングで回避して イヴさんから見て右前の方向へ走りました。 これなら右腕のパンチを放つには、 私を見ながら右回転すると一度右腕を振り上げないといけないので、 攻撃が少し遅くなります。 私はある程度距離をとると振り返って大剣を前に構え、 防御の姿勢をとったのですが、 予想外に早く攻撃がきて吹っ飛ばされてしまいました。
/125ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加