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「……烈火の如きその形相に跪け……地獄熱鎖!!」
目を見開いた前には、
赤く溶けかけた地面から煤に覆われた無数の鎖が、
いつからか降っていた小雨により、
白煙を巻き上げてホンミョウタイセイの身体を縛っていきます。
「グアアアアアア!!」
咆哮するホンミョウタイセイは暴れようと動きますが、
次第に縛られ動けなくなり、
熱せられた鎖に肌を焼かれ浸食されていき、
ついには体を両断され細切れの肉片になり朽ちていきました。
左腕に掴まれている雪さんは、
地獄熱鎖によって一本一本指を丁寧に引きはがされた手の平から滑り落ち、
下に歩いて行ったイヴさんが抱きかかえました。
「綾、がんばったわね。私が手を出さなくてもよかったほどだわ……
もう一瞬速く……あなたが四度目のパンチを食らう瞬間に
発動できれば良かったのだけれども……思いのほか敵が多くてね」
私は回る世界を抑え込みながら辺りを見回すと
大量のウルフの死体が転がっています。
「私達かホンミョウタイセイのどちらかが敗れた時に
襲う準備をしていたウルフ達よ。私達を囲んでいたわ。
あなたが四発目を殴られた瞬間に一斉に動こうとしてきたわね。
そちらを攻撃していたの……発動が遅れて本当にごめんなさい……」
イヴさんが本当に悲しそうに謝ってきます。
私はそんなイヴさんを見て、
「そ……そんな、そんなことないですよ」
そう言って立ち上がろうとしましたがふらついて立ち上がれず、
駆け足で近寄ってきたイヴさんに支えられて宿に戻ることになりました。
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