騒動

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涙が溢れてきました。 涙が止まりませんでした。 昨日の夜、私は雪さんとお酒を飲んでいました。 そう、飛鳥さんとアレフさんが暴れていた時です。 その時に聞いた彼女の今までの人生を思い返して泣きました。 栗旗一家はお家取り潰しになり、彼女は浪人生活を送り、 毎日のご飯にもありつけない生活を送っていました。 そんな毎日に射した光がアレフさんだったそうです。 彼女は救われたと言っていました。 彼女は彼の為なら何でもすると言っていました。 脱衣場から飛び出したとき彼女はショックだったでしょう。 感情が高ぶり恩人であるアレフに罵声を浴びせて出てきたことに…… 私がうずくまり泣いていると和室の戸が開き、イヴさんが出てきました。 突然戸が開いたので私はびっくりしました。 「何を泣いているの?綾…… そんなことではこの先やっていけないわよ、あなたにも宿命があるのですから」 そう言い、私の頭を撫でてくれました。 やさしいですね……イヴさん…… 暫くそうして貰っていると、 「……曇りだったせいで時間感覚がずれていたけど、 もうすぐお昼ね、何か食べに行きましょう…… お腹が満たされれば心も満たされるわ……」 そうイヴさんが言うので、私が、 「雪さんは大丈夫なんですか?」 と聞くと、 「骨は全て接合したは、0.001m単位でね。 肺胞も潰れていたけど魔法膜を張っておいたわ、 そこに合わせて復元するでしょう、大丈夫よ」 そう言い隣の部屋に呼びかけに行きました。 私は立ち上がって深呼吸し、何事もなかったかのように涙を拭きました。
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