出発

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マーニャさん圧勝。 飛鳥さんを枕で滅多打ち。 悩んでた反動ですかね、色々振り切ってます…… というかこういうことに反動なんてものあるんですかね? 目の前の屈託のない笑顔のマーニャさんが怖いです。 少し落ち着いた所で、私は話を切り出します。 「そういえば皆さんはどこに行くためにこの宿に泊まっているのですか?」 「お?そんなの決まってんじゃん」 アレフさんは当たり前だと言わんばかりです。 「魔王を倒しに行くんだぜ!!」 え? 「……え~と、魔王と言うと、魔王自治国の魔王ドラゴンスプリングですか?」 「そうだぜ!!」 …………なんだか凄い違和感があります。 この時代、国はほぼ成立しており、 この頃になると10年ぐらい前の機巧国独立決起集会ぐらいなもので、 それもなぜだかすんなり独立して戦いは起こらず、 どこかの国が他の国を潰しにかかることなんて表立ってありません。 それが、共和国が派遣したたかだか四人の勇者一団が、 秘密利に動き他国の国王を倒すなんてことがあるのでしょうか? そんな暗殺に近いことが可能なのでしょうか? なかなかの疑問です。 「あなた達は…………その、誰に派遣されたの?」 「あれ?綾は知らないの?城下町中にビラが撒かれて 打倒魔王、懸賞金1億円って。 まぁ俺らは国のよくわからない偉そうなじーさん………… 五老星って言ったかな……そいつらに直々に呼ばれたんだがな」 なぜだか凄く自慢気に言います。 共和国の住んでいる人達は、情報統制がされていて、 国家間の正しい情報が入ってこない状況にあります。 情報統制をし、他国の国王でも悪者だと騒ぎ立て、 反発心を植え付ければ利用できるということでしょうか? もしかしたら勇者こそ共和国が魔王に仕向けた真打ちで、 他の反発者や魔王自治国に攻撃を仕掛けにいく積極的な人達は カモフラージュとして利用しているのでしょうか…………? 真実は確かめられませんが…… 後でイヴさんに聞いてみましょう。
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