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「行きましょう」
イヴさんが号令をかけます。
私は宿の主人にお礼を言い、勇者御一行を引き連れて宿を出ます。
あれから随分とごたごたしまして、
月はもう地平線からとっくに顔を出していますね……
なんで寝間着から戦闘着に着替えるだけで
あれだけ時間がかかるのでしょう……不思議なほどです。
「わは~良い月夜だ~」
後ろにいるアレフさんが鼻歌混じりに言います。
なんだか気楽でいいですね。私は夜の森と言うだけで少し怖いです。
「もう少しで満月ね~、おしいな~」
アレフさんと並んで歩いている飛鳥さんもそんなことを言います。
「……月夜は特定の獣が活動的になるわ…………
例えば…………エメジリオメロとか……マルマトンとか…………」
雪さんが私に話しかけてきました。
「どんな生物なんですか?」
「……エメジリオメロは木の枝を渡り歩く小型の{闇}系の肉食獣よ…………
鋭いブレードで邪魔な木を切って進んでいくわ……
だから移動音はするわね……でも、決定力のある素早さを持っているわ……」
なかなか詳しいですね。勉強になります。
「……マルマトンは{土}系の装甲蟲よ…………
地上を群れで突進してくるわ…………
彼らは顎に毒をもっているわね……噛まれたら厄介よ…………」
装甲蟲……かっこ良さそうな響きですが、想像したら気持ち悪いですね。
「……そう言えばどういう風に森を抜けるのかしら……?
一応イヴさんに聞いておいた方が良さそうね…………」
私も気になりました。前にいるイヴさんに聞いてみましょう。
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