畦道

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「イヴさん、中央干渉帯はどのように抜けるのですか?」 「あぁ……森に着いたら話そうと思ったのだけれども、 今話してしまおうかしら…………」 イヴさんがそう言うと、少し後ろを歩いていた二人が近づいてきます。 前にイヴさんと歩いていたマーニャさんも私達に近づいてきました。 「え~、とりあえず皆の装備を見たところ、 綾とアレフは大剣、飛鳥は小手、雪は杖、マーニャは弓、私は一応剣ね。 近接が多いので雪とマーニャを守りながら ばらけずにまとまって動きたいと思います。 右前アレフ、左前飛鳥、右中マーニャ、左中雪、右後綾、左後私の形をとるわ。 各自周囲を警戒して、守り重視で突破しましょう」 「……その陣形になると私は重要よね……何をすればいいのかしら?」 雪さんが質問します。 「雪さんは木系列魔法の状態変化魔法と回復魔法を重点に使って下さい。 それと、隠密には行動しません。 共和国も私がいることが解っていますし、 万が一、来たとしても、 深い森の中ならばいざとなればどこにでも逃げられます。 あえて火系列魔法で周囲を明るくし、 周囲の獣を火で威圧しながら戦闘と奇襲を未然に防ぎ進みます。 後は小走りで進む……以上です」 人数も6人だと隠れるには多いですし、 班を分けるのもお互い戦闘を共にした事が無いので、 意思疎通が難しくなりお互いを助け合うことができずに 自滅するのを避けるためのようですね。 まぁ、一つの方法ですね。 ただ問題もあります。どの方法をとるにしてもあるものですが…… 「火で逃げない獣がもし出てきたときはどうしますか?逃げますか?」 「……生憎、6人のスピードを逃げ切れるほど上げて、 それを維持するような器用なこと、私にはできないわ。 最小限戦います。 火で威圧する役は私なので、私一人が引き付けて止めることもできませんし。 ……雪さんは水系の魔道士ですし、木系もそれなりに扱えるようですけど、 威圧するほどの火は出せないでしょう?」 「そうですね……申し訳ないですが火系魔法は得意ではありません……」 雪さんは素直に答えます。イヴさんは頷くと、 「だから、倒さないまでも相手を鈍らせるぐらいは戦います。 それに、少しは三元魔法{中}の風魔法系列鈍足を使えるので、 始めから多少、相手を遅くすることも可能です」 それを聞いて少し思い当りました。
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