三流小説家。

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職員が私と女の子を見つめつつ、口を開いた。 「ここらで許可なく、販売をしている者が報告を受けたのですが。何か知りませんか?」 と、その言葉に女の子がビクッと肩を震わせた。あきらかに訳ありな女の子だけれど、なぜか、係員は私に疑いの視線を向けていた。え? ということは? 誤解されていることがわかった私はいち早く、その誤解を解くため、それと女の子を預けようとしたが、 「おっ、お姉ちゃん。早くあっちのお店に見に行こうよ」 グイッと私の服の裾を掴んで、グイグイと引っ張った。え? お姉ちゃん? 「姉妹、なんですか?」 「うん。そうなの。今日ねお姉ちゃんと一緒にフリーマーケットに来るって約束してたの。お姉ちゃんって人見知りするから緊張してるんだよね。ね? お姉ちゃん」 と、女の子が私に向かって、ニコッと笑いながら言った。巻き込まれたと思った時にはもう手遅れだった。係員は女の子の言葉を疑ってないようだし、ここで違うなんて言ってもさらに誤解されてしまうだろう。ここはもう少しでもあわせてあげるしかない。 「そっ、そうなんです。この子と一緒にお出かけするって約束してて、あ、そこにいた人達なら私達が来たちょっとあとにどっかに立ち去っていきましたよ」 自分でも白々しいとわかる嘘を並べていく、これで信じてくれるかどうかはわからないが、長居は無用、女の子の手を取ると、 「じゃっ、私達はこれで、さっ、行こうか」 「うん。お姉ちゃん!!」 すがすがしいまでの笑顔と共に女の子を連れ立ってその場を離れて人通りの少ない場所でハァーッと重いため息をついた。なんでこんなことをしなくちゃいけないんだろうか。隣に佇む女の子はニコッとした笑顔をすぐに崩して、 「ありがとう、お姉ちゃん。私の演技に付き合わせちゃって」 「あっそう」 と、どうして、そんなことをしていたのか問いただす気にもなれず私はもう一度、ため息をついた。疲れたわけじゃないが、なんだかこれで終わりじゃない気がした。案の定、それはすぐにやってくる。 「ねーねー、お姉ちゃん。お姉ちゃんって暇なのかな?」 「んー、君の小芝居に付き合ってあげるくらいには暇かな」 「もしかして、無職? ニート?」 「ニートじゃないし、ちゃんと仕事してますよ。失礼なことを言わないように」 とはいっても、最近は戦力外気味なんだけどと私はこっそりつぶやいた。
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