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三時間後。 「あの、志帆さん?」 「何かしら?」 「夢って、あの……これがですか?」 「そうよ」 志帆さんは至極真面目な顔で頷いた。 微かに響く声。 擬似の桃色の花びらが乳白色の水面の上を揺蕩う。 お互いの顔をしっかりと向かい合せる私たち。 ここは湯船の中だ。 志帆さんからのお願いとは「一緒にお風呂に入る」ことだった。 聞いた時は耳を疑ったし、実際入っている今も未だに納得できていない。 「昔から女の子の友達ができたら、少女漫画みたいに一緒にお風呂とかパジャマパーティーをするのが夢だったの。でも、唯ちゃんの部屋では厚かましくて言い出せなくて。しかもここ、狭かったわね。本当は猫足のバスタブがよかったのだけど」 一人でも完全に足を伸ばせるかどうかの大きさ。 大人の女が二人入るには狭くて、足を曲げてお互い体育座りだ。 でも、そんなことより……。 「友達?」 「ええ。嫌?」 「い、いいえ!全然!光栄です!」 「ふふ、ありがとう。初めての女の子の友達、嬉しい」 長い黒髪はお団子に結われている。 普段髪で半分ほど隠された白い頬が湯気でしっとり濡れて赤らんでいる。 志帆さんが眦を下げてにっこりと笑ったのを初めて見た。 年上の人なんだけど、幼い少女みたいで可愛い。 思わずドキッとした。
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