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体温計の音が鳴った。二人で覗き見ると39度を超えていて目を剥いた。
「け、けっこう高い」
「そうだな」
「昨日雨に降られたからかな?」
濡れた身体で寝ぼけた私にくっつかれて寝冷えしたのか。可能性としてかなり高い。そう思うと罪悪感が重く圧し掛かってくる。
「違う。これは疲れからだ。最近、色々と忙しかったから」
曇る私の顔を見た佐野がすぐさま否定する。否定されると余計に申し訳なくなる。
何より病人に気を遣わせてどうするんだ、私。
どうにかして佐野の熱を下げることを考えなければ。
「おかゆ食べられるなら作るけど、どう?」
「今は……ちょっと無理かも」
覇気なく顔を横に振る。普段から感情が顔に出るタイプじゃないからこそ、つらいことがわかる。
それでもひとまず薬を飲ませないと。
立ち上がった私はキッチンへ。
冷蔵庫を開けてみるとビールがごろりと寝転がっていた。あとはペットボトルの水。
その中に奇跡的に一本だけスポーツドリンクが隅に冷やされていて水一緒に取り出してコップと一緒にテーブルに置く。
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