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あ、冷却シート余ってたかも!
前に使ったことを思い出して持ってきていた救急箱の中身を探ろうと立ち上がったら、ぐっと後ろに身体が傾く。
眠りに落ちそうだと思っていた佐野が私の手首を掴んでいた。
「もうちょっとだけ、一緒にいて」
「……うん」
小さな子供みたいな顔をして呟かれると頷くしかない。佐野は私が部屋に帰ると思ったみたい。
心細いのかな。
普段、何でも卒なくこなすのに。
佐野が見せる稀な一面に私は驚きつつ、素直にベッドの傍らに腰を下ろした。
手首を掴んだ佐野の手を上からそっと包む。
熱い。
いつも繋いだ手はひんやりと冷たいくらいなのに。
熱でつらいだろうとそっと撫でていると、心地よさそうに目を細めた彼はゆっくりと目を閉じた。しばらくして、静かな寝息が漏れてくる。
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