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本当に綺麗な顔。 男の人にこういう比喩はどうなのかと思うけど、とてもしっくりくる。それくらいパーツすべてが整っていた。 睫毛長いな。 佐野の顔をじっと見入ったことがないからついつい観察してしまう。 端正な顔はいつもどこか冷たい印象を受けるけど、無防備になっている今は幼さが宿っている。 つらいのに、約束のために来てくれたんだよね。 ご飯なんて延期になってもいいのに。 寝顔をじっと観察していると、ルークがベッド脇に歩み寄ってくる。心なしか佐野の様子を窺っているように見えた。 「ルーク、佐野はちょっと休んでるからおとなしくね」 小声で言うと偶然なのか「にゃ」と返事するように鳴く。それから大人しく丸まって眠り出すからなかなか子猫ながら賢い。 私はそっと彼の手から自分のものを抜き取る。テーブルに置いたままの彼の部屋の鍵を手に電気を落とすと、静かに部屋を出た。
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