10/24
前へ
/1502ページ
次へ
「熱計った?」 「まだ」 「じゃあ計ろう。ご飯は?何か食べられそう?」 「うん」 「おかゆ作ってあるから持ってくる」 「お、ありがと」 早くに目が覚めたから佐野用に作っておいたのだ。お節介かなと思いつつ、「いや、食べなかったら私の昼ご飯にしたらいいし」と一人言い訳をしながら作った。 部屋に戻っておかゆを炊いた小さめの土鍋をトレイに乗せる。それを冷めないうちに運ぶぼうとわたわたと佐野の部屋に戻った。 「熱は?」 「38.4度」 熱を測り終えた佐野が体温計を眺めながら言った。 「まだ高いね。仕事は今日あるんだよね?」 「まぁな。そっちは?」 「今日は休み」 月曜日。 接客業の私は土日勤務が多いかわりに平日の休みが多い。でも、佐野は暦通りだろうから、出勤しないといけない。 「仕事行けそう?」 ローテーブルに土鍋を置く。多少の熱なら私も無理をして出勤したことがあるけど、下がったとはいえ佐野はまだ高熱を出しているし、ぶり返したら大変だ。
/1502ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4004人が本棚に入れています
本棚に追加