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「熱計った?」
「まだ」
「じゃあ計ろう。ご飯は?何か食べられそう?」
「うん」
「おかゆ作ってあるから持ってくる」
「お、ありがと」
早くに目が覚めたから佐野用に作っておいたのだ。お節介かなと思いつつ、「いや、食べなかったら私の昼ご飯にしたらいいし」と一人言い訳をしながら作った。
部屋に戻っておかゆを炊いた小さめの土鍋をトレイに乗せる。それを冷めないうちに運ぶぼうとわたわたと佐野の部屋に戻った。
「熱は?」
「38.4度」
熱を測り終えた佐野が体温計を眺めながら言った。
「まだ高いね。仕事は今日あるんだよね?」
「まぁな。そっちは?」
「今日は休み」
月曜日。
接客業の私は土日勤務が多いかわりに平日の休みが多い。でも、佐野は暦通りだろうから、出勤しないといけない。
「仕事行けそう?」
ローテーブルに土鍋を置く。多少の熱なら私も無理をして出勤したことがあるけど、下がったとはいえ佐野はまだ高熱を出しているし、ぶり返したら大変だ。
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