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「俺も今日は休む。土曜出勤もしたしいつも馬車馬のように働いてんだから、熱出た時くらいいいだろ」
それから「メシ食う」と言ってテーブルの前に座る。私は土鍋のふたを開けた。湯気が立つと同時にいい匂いが部屋に広がる。
「うまそ」
たまご粥。
葱をまぶして彩も一応考えた。小鉢によそうとレンゲとともに佐野に手渡した。
「熱いから気を付けてね」
「うん」
ふーふーする横顔はまた幼い。眼鏡が曇るものだから余計に隙だらけで、笑みが漏れてしまった。そこに窓際で丸くなっていたルークもやってきて一鳴きする。
「こいつにも飯やらないと」
おねだりの合図に佐野が腰を上げかけたのを制止する。
「私、あげとく」
佐野からエサの場所を聞いてルークにあげる。おいしそうに子猫用フードを食べる背を撫でてやる。
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