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「昨日いい子にしてたもんね」 よしよしと撫でていると佐野がじっとこちらを見る目に気づいた。 猫に話しかけているところを見られるというのは想像以上に恥ずかしい。 私は誤魔化すように勢いよくガバッと立ち上がった。 「ご、ごはんどうだった?」 「あ、うまかった。ありがと」 「い、いえ、お粗末でした。びょ、病院行く?薬も処方されたもののほうがよく効いて早く治ると思う」 「一応、行っとくか」 佐野はそう言って私が持参した茶葉で入れた温かい緑茶を飲む。 ここらへんの病院はどこになるんだろう。引っ越してきたばかりの私ではわからない。 「この近くって病院あるの?」 「一応スーパーの近くにある」 徒歩十分圏内にスーパーがある。あそこなら熱があってもすぐに行ける距離だ。 だけど、気怠そうに立ちあがって出掛ける用意をする佐野を見ているとどうにも落ち着かなくて 「わ、私も買い物に行くから」 となぜか宣言してしまった。すると、彼は「わかった」とだけ言って歯磨きを始めた。
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