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そこは小さなクリニックだった。町のお医者さんを体現したような一軒家。白い木の壁がほのぼのとしたノスタルジックな雰囲気を醸し出している。 「じゃあ、あとでな」 「うん」 さすがに私が中で待つのも邪魔だし、当初の目的の買い物を済ませるべく眼鏡にマスク姿という怪しさ満点の佐野と別れてスーパーに向かう。 角を曲がったら中型スーパー。どこにでもある、だけど庶民的な価格を守るがモットーの老舗。 自動ドアから入って独特の音楽が流れる中、カゴを腕に引っ掛ける。 お昼は何にしようかな。 またおかゆは飽きるだろうから、うどんとかどうだろ。 と思って麺コーナーに向かう過程ではっとする。 これでは私が佐野のために買い物に来たみたいではないか。 私は今日休みで冷蔵庫の中身も心許なくなってきていたから買うだけ。 佐野は私のせいで風邪を引いたからご飯くらい作るのは別に人として当然の行為だ。 そう、一人分が二人分になってもさほど手間は変わらない。 そう、そうよ。おかしくない。 一人で何かと葛藤しながらも、うどんをカゴの中に二つ入れた。
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