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「うまそ」 とテーブルに置かれたうどんを見ながら座る佐野。 「冷めないうちにどうぞ」 「お前の分は?」 「あ、一応ある」 「んじゃあ一緒に食おう」 『一緒に』という言葉が耳を擽るように響いてこそばゆい。あと同時に居心地も悪くなる。 決して嫌な感じでというわけではなくて、こう、そわそわするというか。落ち着かないというのが一番最適な表現かもしれない。 それが、近頃頻繁だから困る。 何なんだ、これは。 「早く」 「あ、はいっ」 急かされて我に返る。私はキッチンにあるうどんをせかせかと運んだ。 「いただきます」 ふーふー息を吹きかけてうどんを食べる佐野を盗み見る。また眼鏡が曇っている。秀麗ないつもの佐野の跡形もない。 ないんだけど……可愛いかも。 「んだよ?」 「べ、別に」 うどんを箸にかけたまま食べない私を怪訝そうに見遣る。観察していたとは言えず、慌ててうどんを啜った。いきなり口に入れたから熱くて咽て佐野に呆れられる羽目になった。 佐野は食後のチーズケーキもぺろりと食べた。もらった薬を飲んで彼はベッドに、私は食器を片付けた後洗いあがった洗濯を干した。 そろそろお暇したほうがいいよね。 流れでここまでいたけど、佐野もゆっくり養生したいだろうし私が居座ると邪魔にしかならない。大分顔色はいいから、また晩御飯くらいに顔を見に来たらいいだろう。
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