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そう思ってベランダから部屋に入ると佐野がコントローラーを差し出してくる。 「対戦しようぜ」 「へ?」 「暇だし、いいだろ」 言われるがままコントローラーを持ってベッド前に腰を下ろす。佐野はベッドの上、私の背後に座る。 「頭小さい」 「ひゃっ!」 後頭部を掴まれる。いきなりの男の指の感覚に肩が跳ね上がった。 「バレーボールより小さいんじゃねぇの?」 「な、何をっ」 あわあわと手で佐野の指を外そうともがく。 でも、なかなか離れなくて私は無理矢理首を後ろに捻ると、思いのほか佐野の顔が近くにあって「ぎゃっ!?」と奇声を上げてしまった。 その声で佐野が指を離したから急いで顔を背ける。 「か、髪くしゃくしゃになるからやめてよね」 と言い訳がましく言って髪を直す仕草で熱を持った頬も隠す。 いきなり何をするんだ、この男は。 熱が出ると子供っぽくなるというやつなのか。 「や、やっぱり、寝てなくていいの?」 「眠くないし。食べてすぐ寝たら逆に体に悪いだろ」 「そ、そっか」 「小学生の頃とか風邪で休んで家でゲームしてた時の背徳感の中の優越感っていうの?あれ、最高だったよなー。母親に怒られたけど」 「う、うん」 佐野は至って普通に話しかけてくる。でも、私は背後にいる佐野の存在にそわそわしてどうにもゲームに集中できなくて見事全敗した。 そうしてゲームをして一時間が経った頃、佐野の瞼がうつらうつらと下がりかけた。 薬が効いてきたせいかもしれない。私はコントローラーを置くと後ろの佐野に向き合った。
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