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「寝る?」 「ん」 小さく返事をして眼鏡を外す彼からコントローラーを受け取ると、横たわるその身に布団をかけてやる。 反射的によしよしと小さな子供がするように布団の上から撫でてしまうと佐野はふっと小さく笑って瞼を閉じた。 やがて健やかな寝息が聞こえてきて、静かに立ち上がったところで足元に小さな衝撃。黒猫が私の足にしがみついていた。 「ルークも遊びたいの?」 「にー」 小さな甘えん坊を放って自分の部屋に戻ることはできない。朝早く起きたから家事は大体済んでいる。 私は笑みを浮かべて腰を下ろしかけた。そこにインターホンが鳴った。 だ、誰だろう。 あんまり鳴り続けるとせっかく寝た佐野が起きてしまう。 私は迷った後、玄関のほうに足を向ける。 通話ボタンの上のモニターを見てぎょっとした。そこに映し出されたのは戸坂真央。一昨日私にシャンパンをかけた人物だった。 で、出ないほうがいいよね。 迷っているうちにもベルは鳴り続けて、それに反応したルークがドアを引っ掻こうとする。 「ル、ルークっ」 爪が痛むと抱き上げたところでドアのベルが鳴り止んだ。 「……いるんじゃない」 バレた。 これはもう出るしかない。
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