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「あー、やべ、落ち着く」
そう言って私の頭に顎を置く。
それから、二の腕をぷにぷに摘まれた。
「ちょっと、やだっ」
「いいじゃん、気持ちいいし」
「私はよくないの!」
ブラウスの上からとはいえ、贅肉を摘まれるのは嫌に決まっている。
身を捩ってみたけど、離してくれない。
むしろ今度はおなかに腕が回ってぐっと身体を密着させてきた。
首筋に顔を埋めてきて一瞬ビクリとしたけど、口づけが来る気配もなく、宗介くんはそのまま動かない。
……今日はすごい甘えん坊。
身体の大きさからして猫というより、虎とかチーターなどの肉食獣が戯れてくる感じだ。
いつその牙が肌に突き立てられるのかドギマギしながらも甘んじて抱き人形になる。
仕事が大変だったのね。
普段見せない顔に何となく察して、でもいつもとのギャップに可愛くさえ思えてしまって。
それならば、今日は二の腕くらい揉ませてあげようと心が寛大になった時、
「唯、なんか今日いつもと違う」
「え?」
「シャンプーとか変えた?」
指摘されて、サァッと血の気が引いていく音がした。
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