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それがまた自分が酷薄な人間のように思えてくる。
本当に愛してるなら彼をすんなり選べるでしょ?
迷う私にもう一人の自分が攻め立ててくる。
彼が私のために我慢して本音を殺している。
彼は私に我慢させたくないと言ってくれているのに、私はそれに甘んじてばかりで彼には無理をさせている。
「今時は別居婚もあるけど、モチ子、ていうかハチには無理でしょうね。海を隔ててだと特に」
「そうですね……」
蓮さんに改めて言われると、さらに現実が突きつけられたようで肩を落とす。
今の仕事は辞めないといけないのは、プロポーズを受けた時に覚悟はしていた。
それが思いの外、早くなりそうだというだけ。迷う意味はない。
私は宗介くんと結婚するのだから。
……どのタイミングで会社に話すべきかな。
話すなら早い方がいいと思う。
後任の店長を決めて引き継ぎをして。
その店長もどこからか異動してくるなら、そこを埋める人材もいる。
サブの理恵ちゃんが繰り上がって店長になるのもありだとは思うけど、それでも人を補充しないといけない。
今、人数的な余裕はない。それに新人を入れるにも教育する時間がいる。
インナーウェアは肌に直接接するため、フィッティングや接客で知識と細やかな気遣い、経験がいる。
新人かひとり立ちできるまでどうしても時間はかかる。
それを理恵ちゃん一人に押し付けて私は早々に退社、とはいかない。
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