理想と現実

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「あんたね〜」 「だ、だって、男の人、なんていうか苦手なんだもん」 私は男の人が苦手だ。 嫌いとまではいかないけど、できれば関わりたくない。だって、粗雑だし、力強いし、思考もすぐいかがわしいこと考えてて怖い。 私自身兄がいるものの、まだまだ理解できない部分があって苦手意識が払拭できない。 高校時代に一時、いじめられていたというのもあるだろうけど。 私にはゲームの中の美男子がたまに優しい言葉で慰めてくれる程度で十分事足りている。 現実世界で自分のやりたいことよりも、彼氏第一で動いている女子たちみたいな情熱が、私には雀の涙ほども湧いてこないのだから仕方がない。 「だからっていつまでも独り身も寂しいでしょ?昔から合コンにも連れてってるけど、その『男恐怖症』だか『毛嫌い病』?全然治らないもんね」 ゆかりとは大学の学部が同じで、父親がイギリス人の彼女はその美しさから当時読者モデルをしていた。 純日本人顔の私とは見た目も性格も正反対だけど、不思議とうまがあって大学は違う美晴と三人でよく遊んだ数少ない親友だ。 だけど、恋愛至上主義ともいえるゆかりは男が苦手で恋なんて五番手くらいに考えている私を理解できない。 何度か私を合コンに連れて行って、男嫌いを治そうと試みたようだけど、結果はこのとおり。 というか、ほとんどの男性はゆかり目当てで私などお呼びでないことはわかっている。
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