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「わー、開いた!」
私はローテーブルの前に座って感嘆とともに手を合わせる。
目の前にはガラス性のティーポット。
中には宗介くんが買ってきてくれた中国茶が綺麗な花をゆっくりと咲かせ始めていた。
菊花茶という花自体がお茶として飲めるものらしくて、お湯を注いで待つと徐々にポットの中で小さな花を咲かしていく。
「綺麗」
「喜んでいただけて何よりです」
宗介くんも何でもない顔しているけど、少し緩んだ口元は私の反応にご満悦の様子。
あれから急いで私は部屋の洗濯物を片付けて、ちょっと遅いティータイムだ。
先程もらったクッキーが早速お茶請けになった。
他に柿の種しかなくて、クッキーの隣に添えてみたけど違和感は否めない。
和洋中の不思議なコラボレーションを前に、二人分マグカップにお茶を注ぐ。
花のいい香りが湯気とともに鼻腔に届いてうっとり目を閉じた。
一口飲むと、香りがさらに濃く広がって、ほっとため息が出た。
「あー、やっぱこっちは落ち着く」
宗介くんも大きめのチョコチップクッキーを齧りながらひと息吐く。
その後、柿の種を食べて、またクッキーという甘いとしょっぱい味を交互に口に運んでいく。
ご飯は家で食べてきたといっていたから、空腹というわけではないのだろう。
前に、普段お菓子はあんまり食べないと言っていた。
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