第2章

11/12
前へ
/17ページ
次へ
その日、予報通り午後から激しい雨が降り始めた。 私は彼女がいつも通る道から少し離れた木陰に車を停めた。 午後2:50。 いつもならこの時間に彼女はここを通る。 しかし、今日はまだ姿が見えない。 この雨だ…もしかしたらいつもと違う手段で帰宅したのかもしれない。 もう少しだけ待ってみよう。 そう思って膝に座っているタイガの頭を撫でた。 その時、タイガが何かに気づいて鼻を鳴らした。 雨の中、遠くに彼女のピンク色の傘が見えた。 来た! 私の心臓が一気に高鳴る。 目を閉じて一度大きく息を吸う。 よし。 小さく呟くと私はドアに手をかけた。 雨音が大きく響く。 さあ、行こうか。 雨に濡れるのもかまわず、私はタイガと車を降りた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加