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その日、予報通り午後から激しい雨が降り始めた。
私は彼女がいつも通る道から少し離れた木陰に車を停めた。
午後2:50。
いつもならこの時間に彼女はここを通る。
しかし、今日はまだ姿が見えない。
この雨だ…もしかしたらいつもと違う手段で帰宅したのかもしれない。
もう少しだけ待ってみよう。
そう思って膝に座っているタイガの頭を撫でた。
その時、タイガが何かに気づいて鼻を鳴らした。
雨の中、遠くに彼女のピンク色の傘が見えた。
来た!
私の心臓が一気に高鳴る。
目を閉じて一度大きく息を吸う。
よし。
小さく呟くと私はドアに手をかけた。
雨音が大きく響く。
さあ、行こうか。
雨に濡れるのもかまわず、私はタイガと車を降りた。
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