第2章

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私はタイガを濡れたアスファルトに降ろす、タイガは空を見上げ、軽く頭を振ると私を見た。 私が頷くとタイガは走り出した。 彼女は数メートル先も見えないほどの土砂降りの雨の中、傘を深くさし足元だけを見ながら歩いていた。 もう靴はズブズブに濡れていた。 一歩歩くごとにグチュグチュと不快な音を立てていた。 そんな彼女の前に突然それは現れた。 彼女の足にずぶ濡れになった真っ黒な物体が飛びついた。 きゃっ! 思わず悲鳴をあげるが、次の瞬間には彼女の顔に驚きと共に嬉しそうな笑顔も浮かんだ。 タイガじゃない!どうしたの? そう声をかけながらしゃがむとタイガの頭を撫でた。 タイガは彼女の前で大きく身体を降り水飛沫を飛ばした。 彼女は一瞬顔をしかめるがすぐにまた笑顔を浮かべる。 私はそんな二人の元へ駆け寄った。
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