第2章

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光の届かない真っ暗な海の底から無理やりに引き揚げられるような感覚で私は目覚めた。 ぼんやりと天井を見つめ、ふと我に返って時計を見る。 起床時間にはまだ少し早い。 いつも目覚ましがなる少し前に目が覚める。 いつもそうしているように目覚ましなるまで、横になったまま枕元に置いていた携帯をチェックする。 届いているメールはたいていがメルマガだ。 時々、職場の同僚から引継ぎのメールが入っている事があるが今朝はそれはないようだ。 メルマガは開くこともなくすぐに削除する。 届かないように設定すればいいのだろうが、たまに早く目が覚めすぎたときには開いてみる事もあるのでそのままにしてある。 まあここ数ヶ月は削除しかしていないのだが。 一通り削除し終えると目覚ましが鳴り始める。 目覚ましを止めると、私は布団の中で大きく伸びをした。 よし!今日も一日がんばるぞ! 寝室から出てリビングに行くと、足元に黒い塊がまとわりついてきた。 私は腰をかがめてそいつの頭をなでる。 「おはよう。タイガ」 タイガはうれしそうに尻尾を振ると私の手を舐めた。 私はテレビをつけてからタイガと一緒にキッチンに行くと、冷蔵庫を開け牛乳を取り出す。タイガの皿に牛乳をそそいでから、紙パックのまま自分も一口飲んだ。 「よし!」 皿の前でお座りしていたタイガは私の合図で牛乳を飲み始める。 その間に、もう一つの皿にドッグフードを用意し、私は戸棚から取り出したパンを口に入れる。 朝食はいつもキッチンで立ったまますませる。 面倒だし朝は食べなくてもいいのだが、タイガはそうはいかないので結局毎朝こいつに付き合って食べている。 朝食を済ますと、リビングの隅にあるタイガのトイレを掃除する。 大きい方は紙に包んでトイレに持って行く。 ついでにトイレを済ませてから、洗面所で顔を洗い。 身支度を整える。 テレビからは明るいお天気お姉さんの声が聞こえている。 今日も暑くなるらしい・・・そろそろエアコンをつけて出かけなきゃいけないかもしれないな。
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