第2章

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そんな事を考えながらゴミをまとめていると、先ほどまでの明るい声とは打って変わって神妙なニュースキャスターの声が聞こえてきた。 「昨日、○○市の公園で若い女性の他殺体が発見されました。遺体の身元はまだわかっておらず・・・・・」 私は思わず手を止めてテレビを見る。 画面は切り替わり、リポーターが現場から事件の概要を伝えていた。 その公園で見つかった少女は12~15歳。 第一発見者は犬の散歩中の女性。 発見時、少女の肩までの黒髪は整えられ、顔は綺麗にメイクをしていた。着衣も乱れておらず、汚れてもいなかった。 一見して目立った外傷などなく、自殺かと思われたが、鑑識が到着して遺体を調べて驚愕したという。 確かに少女の体には外傷はなかった。 ただしそれは服で隠れていない部分だけだったのだ。 少女の体にはおびただしい傷が残されていたという。 鑑識の結果、少女の死因は外傷性ショックによる失血死。 また体内からは微量の薬物反応もあった。 リポーターは少女の発見された公園内を歩きながらあれこれと説明しているが、やはりテレビではこの程度の内容しか放送されないらしい。 私は急いでゴミをまとめると、テレビを消した。 エアコンのスイッチを入れ、タイガの頭を撫でる。 「それじゃあ、いい子にしてるんだよ」 リビングのドアを閉めると、私はゴミとカバンを持っていつものように仕事に出かけた。
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