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ーーーーー。
「ーーー、あの、山元さん…さっきはすいませんでした!」
…お手製の卵焼きを口に運びかけた時だった。
「塚田くん…!」
折れんばかりに体を曲げながら大きな声で謝る塚田くんに、食べかけていた卵焼きを弁当箱に戻し、慌てて立ち上がった。
ーーー、もう!ここ、食堂なのにー!
何が起こったのかと。
食堂にいる社員全員の痛い視線がビシビシ伝わってくる。
「も、いいから、ね?ほら、頭、上げて」
頭を下げる塚田くんの体を起こし、そっと顔を覗き込んだ。
「…、ほんとに、すいませんでした。山元さん優しいからって、甘えて、その上偉そうなこと言って…あぁ、俺マジで情けねえ…」
叱られた仔犬のように眉根を下げる塚田くんを見てると、年下だなって初めて思えた。
「うん、もう分かったから。あたし、全然怒ってないし、そんな落ち込まなくてもいいよ。だから、ほら、早くお昼ご飯食べておいで?時間無くなっちゃったらお昼ご飯食べ損なっちゃうよ、ね?」
「…、はい。分かりました…」
早口で説得し、ようやく動きだす塚田くん……の、はずが。
「……、なにアンタ。まやに何かしたわけ?」
嵐の芽が過ぎ去ればまた、嵐の芽が発生…。
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