第1話

ショートケーキ

「…かっこいいねー」

とか。

「…かわいー！」

とか。

一気に色めき立つ女子社員。

その声すら、二日酔いの頭にはいつも以上に響く。

あーもう。
めんどくさいめんどくさいめんどくさい…

二日酔いのせいで、いつになくイライラしていた。

大きな声で勢い良く挨拶した新人くん、いや、神崎？くん。

うわっ、…確かにイケメン。

そこまで騒ぐのかと抱えていた頭を上げると、そこには今時のイケメンが。

スラリとした体型ぴったりな細身のスーツを着こなして。

明るめの髪は緩くパーマで遊ばせて。

大きなアーモンド型の垂れ目に通った鼻筋、薄くキレイな形をした唇。

全てが完璧。

非の打ち所がないとは、まさにこの事だ。