ショートケーキ

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冴木篤斗<さえきあつと>、28歳。 同期入社の彼は、今やうちの会社のエースで。 モデルのようにスラっとした体型に。 切れ長な二重に主張しすぎないくらいに通った鼻筋、その上、色気のある口から出るのは低く甘い声。 ムカつくくらい整った容姿で、尚且つ仕事もデキる。 そんな冴木くんは、入社してすぐに会社のエースにまで登りつめていた。 「っ、…篤斗さん…」 塚田くんは、叩かれた頭を押さえつつ冴木を見る目は少し怯え気味で。 反抗する事を許さぬオーラを放つ冴木に、バツが悪そうに目を逸らした。 「その資料作りは自分の仕事だろ?なのに何でそれを山元に押し付けてるわけ?なにお前、この仕事なめてんの?」 「いや、あの、違うんすよ!なんつーか、その……」 なおも詰め寄る冴木くんに、塚田くんは完全に萎縮してしまったように顔をしかめる。 「なにが違うっつーんだよ!人に押し付けといて偉そうな口をたたいてんじゃねーよ!」 普段は温厚な冴木くんがここまで声を荒げる姿は初めて見た。…それは他の社員も同じなようで。 目を見開いている社員もいれば、ビビって萎縮している社員までいて。
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