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1.舗装されていない林道(夜)
秋の夕暮れが空を茜に染める。
ヘッドライトに浮かび上がる轍が続下りの林道。
大型トラックがギリギリ一台通れる舗装されていない道。
起伏が激しい。
軽トラックが中途半端に轍に載りながら、坂を下る。
電気自動車なのでエンジン音は聞こえない。
土と砂利を掴むタイヤの音がカーラジオの音楽をかき消す。
道の中央にいたイタチの目がライトを浴びて光る。
そのままサッと横切って逃げる。
目の前に舗装された林道との合流が見えてくる。
一時停止し、ウインカーを出さずに下り方向へとハンドルを切る正明。
2.舗装された林道(夜)
舗装されているが手入れはされていない林道。
ヒビ割れや雨水を逃がす溝が道路を横切る。
車が2台すれ違うのは難しい車幅。
カーブの向こうから対向車のヘッドライトが木立を照らす。
少し広くなったカーブで対向車をやり過ごすため、
スピードを落として路肩に寄る軽トラック。
パン、というクラクションと共に対向車が通り過ぎる。
いぶかしげに見る正明は薄い青の作業着。
普通サイズワンボックスの対向車の中はアベック。
軽トラックをスタートする正明。
対向車が来ていないのを確認し、少しだけカーブに突込み気味に入り、
薄っすらと砂利や砂が浮くカーブで軽トラックのテールを滑らす。
それほどスピードは出ていないが軽くスキール音が鳴る。
【正明】ん?
少し顔をかしげる正明。
カーブの度にヘッドライトに照らされる木立。
1人2人と人影が浮かび上がる。
サッと流れるヘッドライトの中に浮かぶ姿は、
男性が多いが、ちらほら女性も見受けられる。
時折木立の間に止まる車やバイクがある。
スピードを落としキツメのS字カーブを通り過ぎる軽トラック。
エスケープゾーンが広く見通しが良い。
山側は落石防止のコンクリートで固められており
木々の間から集まった水が小さな滝となって流れ落ちている。
そのまま、車が停められそうな木立にウインカーを出して
ゆっくりと曲がる軽トラック。
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