初めに

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15.飯場の外(晴れ) 飯場の横にシートが掛けられた小山が見える。 広めのスペースはどこも積み上げられた材木で埋まっている 三本の丸太で組まれた櫓には滑車がかかり、 鋼製ロープが谷底に向かって伸びている。 霞が掛かった谷底の様子を見ることは出来ない。 シートをめくり上げる正明。 シートの下からは所々錆びたオレンジ色に塗られた 6脚タイプの運搬機械が現れる。 畳一畳ほどの荷台と操縦幹がついた運転席。 後ろにはカニのようなはさみの付いた油圧バックホーが付いている。 運転席の脇の蓋を開け、こぼさないようガソリンを入れる正明。 キーをひねり、エンジンをかける。 各部の点検。 オイルの染み出しを拭き、オイル漏れが無いかをじっと見る正明。 16.小屋(中) 正面の木の扉を開けて入ってくる正明。 片手にはガソリン缶を持っている。 扉の内側には苗木が箱に入って置いてある。 奥には半装軌式のバイクがある。 苗の箱を腰を入れてもちあげ、バイクの引くトレーラー(小型リアカー)に 載せる正明。 いっぱいまで苗木を載せると、運転席横の蓋をはずし、 缶の半分程度まで減ったガソリンを継ぎ足す。 空になった缶を傍らに置き、自転車のサドルのような椅子に座る正明。 刺しっぱなしのキーをひねり、エンジンを掛けて表に運転して出ていく。 17.飯場(外) 外に出てくる半装軌バイク。 出勤してきた車が傍を通る。 手を上げて挨拶する正明。 車の窓から手がでてきて挨拶を返す。 アイドリングにして半装軌バイクから降り、小屋から空缶を回収しながら 飯場に戻る正明。 18.飯場(中) 正明がドアを開けてプレハブ飯場に入ってくる。 ドアは開けっ放し。 視線は漫画を読む職長へ。 【正明】おやっさん、修理業者何時来るんですか? 【職長】あー、なんか部品が揃わねーって言ってたなぁ。     まぁそのうちくるだろ。 【正明】もう他のトコじゃ使ってないから特注かもしれませんねぇ。     あんな古いののパーツ、     ストックしてるとこなんか無いですよきっと。 【職長】イカレかけてるのは油圧だろ?     今のモンだってくっ付くわ。     エンジン生きてるからまだ使ってやらんとなぁ。     買い換えるっつっても、電動じゃウチじゃ使えんし。
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