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序章 伽羅の香木
「出でよ! 橡家第19代 属蟲 木賊よ!」
主に呼ばれ、表に出る。
長い緑と茶の髪が無風の中に漂い、透ける様な白い肌に赤い唇の木賊が4枚の羽根を広げると、辺りから奇声が上がった。
目の前に魑魅魍魎に囲まれた主がいた。
「木賊! 斬ろ!」
私は思いっきり羽根を伸ばし、とりあえず主に纏わり付いている雑魚蟲を吹き飛ばした。
私は木賊(とくさ)。
橡家の歴代属蟲としては稀有な人型の蟲として、蟲颪(むしおろし)された。
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