4(糸田家の人々)

5/5
前へ
/1112ページ
次へ
キムチご飯を食べ終えて。 手持無沙汰。 インスタントコーヒー片手に居間に戻ってテレビをつける。 ついでに、親が次郎さんに残したっていう置手紙をチラ見。 うん、俺の方が親よりも常識人だ。 『次郎君へ おはよー。私達、出かけるから自分の家だと思ってごゆっくり~。冷蔵庫の中の物は何でも食べて下さいな。お風呂も自由に使ってね。タオルは美咲に聞いて出してもらってね。   美咲の母より 追伸 昨日のレターケースの中にまだまだあるから必要なら持って行っていいからな   美咲の父より』 母親はまだいい。いや、風呂のあたりは暗に昨夜の出来事を指してると思われるから微妙か? 父親は・・・手の施しようがないくらい困った親だろ。 でも、俺が会社行く前に起きてこなかったら俺もここに一筆、付け足しておこう。キヒヒ。 ******************************* 結局、二人は起きて来なかったな。 うん、昨夜は絶対にやったってことで俺の中で確定。 置手紙に俺も一筆啓上だ。 とうとう大人になったのか。 いろんな技が知りたかったらいつでも言ってくれよ? 次郎さんが喜ぶ技、教えてやるからな。   お兄ちゃんより うん、俺ってなんて妹思いで最高のお兄ちゃんなんだろう。 可愛い妹のために恥ずかしさを捨てて俺の秘蔵のDVDとか、貸してやろうってんだから最高のお兄ちゃんだ。 さーて、今日は何の音楽を聞きながら会社に行こうかな。 ショパンでも聴くか。 幸せな二人の眠りを妨げる最高の音楽だな。 ショパンの『別れの曲』 ふふん、俺って最高に常識あるお兄ちゃんだ。
/1112ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8301人が本棚に入れています
本棚に追加