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ドワーフ達は困って自分達の長の顔をみると、彼もまた困っていた。すると、ストレンジと名乗った彼らは、ドワーフに手を差し出した。
「てゆーか、エルフとかステレンジとか、どーでもいいだろ。だって俺たちは、あんた達と暮らせば絶対面白いって、予感がするんだ」
さっきまでばらばらだったストレンジ達は誰もが真剣だった。
「お前、また言い間違えたぞ」
ドワーフの長はため息をついて、差し出された手を静かに払った。
払われた自分の手を見ながら、ストレンジは顔色を変えずにドワーフに言う。
「だから、そんなのどうでもいいんだよ。エルフだろうがステなんとかだろうが、ドワーフとか、サラだって。みんな同じだ。昔は、そうだったのに」
ストレンジの手は固く拳を握っていた。ドワーフ達は、まるで雷が落ちたようにはっとし、お互いの顔を見合わせた。ドワーフの長は息を吸って、ストレンジを見つめる。
「そんなことを言う奴に会うのは、初めてだ」
彼らが今までのエルフ達と全く異なるというのは、ドワーフ達にもようやく分かった。
彼らには、自分を取り巻く壁がない。多くのエルフ達は自分と相手の間に線を引きたがる。それもおそらくは無意識だ。意識ある者は壁を作り、塔のように高くなったそれから相手を見下ろしているのだ。
それは、エルフだけとは限らないと、ドワーフ達は自分達の作った壁が塔になりかけていると知る。
ストレンジ達には、そんなものは存在しない。サラマンダーを怒らせただけでは飽き足らず、工房まで作ろうとする神経だ。ドワーフの長は、噛みしめるように笑う。
「塔なんかあってもどうしようもないな」
ストレンジ達はその言葉に首を傾げる。けれど、次の瞬間には顔色を変えていた。
ドワーフの長はストレンジに手を差し出した。後ろにいたドワーフ達も一歩前に出ると、誰の瞳も輝いていた。
「分かった。ここに残って物を作ろう。確かに面白そうだ。だがその前に、あのサラマンダーを説得しないとな。もう怒らせたから、説得するのは大変……」
ドワーフがまだ話終わってもいないのに、ストレンジ達は突然歓声を上げて、ドワーフの手を取ると踊り出した。
その勢いで祭りが始まり、音楽がながれ、サラマンダーの地の熱で勝手に料理をつくり、どこかから持ってきた酒を飲み交わす始末だ。それにはドワーフも目を丸くさせたけれど、どこか懐かしい空気が流れていた。
その日以来、ドワーフ達は、騒がしいくせに何もしないストレンジ達にまざって陽気に仕事を始めた。
サラマンダーはストレンジが説得し、彼らは住むことを許された。実際、ストレンジがサラマンダーを説得したというよりも、サラマンダーがストレンジの図々しさに諦めたといったほうが正しいだろう。
ストレンジにしてみれば、どちらでも同じことだった。
そこはいつも熱気にあふれ、ドワーフは陽気さを取り戻し、ものづくりの熱は以前と比べものにならないほど強くなっていた。
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